秋の始まりに想う私の帰る場所
下記の英文を日本語で読む
残る暑さ。ぶり返しては引いていく湿気。雨の多い日々。午後遅くにざっと来る夕立——いや、それ以上の、短く激しい嵐。(なにしろ、台風の季節ですから。)そんな季節のあちこちに姿を見せる、小さな友。赤い竜です。
この一句が、なんとも見事にその姿をとらえています。
大雨が洗ひし空気赤とんぼ ——青葉三角草
ここに添えたのは、江戸時代の『画本虫撰』に描かれた、なんとも愛らしい「赤とんぼ」。題名だけでもう十分です。そこから思い浮かぶのは、とても生物的で、それでいて実に日本らしい何か。
『画本虫撰』より「赤とんぼ」 喜多川歌麿 1788年
The lingering heat. The waves of on-again, off-again humidity—the frequent rainy days—those bouts of late-afternoon squalls; or more: tight, punchy storms. (It is typhoon season, after all.) All marked by our little friend, the dragon. Beautifully captured in this verse:
大雨が洗ひし空気赤とんぼ
——青葉三角草
Paired here with a delightful Edo-era print Akatonbo from the Picture Book of Crawling Creatures. (The name alone is enough.) It brings me to ideas very biological and strikingly Japanese.
Red Dragonfly (Akatonbo), from the Picture Book of Crawling Creatures (Ehon mushi erami), Utamaro, 1788
下記の英文を日本語で読む
自然には、季節を知らせる小さな合図があります。梅雨には蛍。その終わりには蝉。そして赤とんぼ。
赤とんぼを見ると、どこか嬉しくなる。暑さの盛りは、もう過ぎたのだ、と。もちろん、まだ暑い日はある。それでも夜は少し涼しい! 秋が来る! まるで、ひとつの約束事のようです。そうでなければ、彼らは戻ってこない。暑すぎれば、交尾し、卵を残すこともできないのですから。
そもそも彼らが生まれるのは、私たちのすぐそば。初夏の田んぼ、その泥の中です。厳しい暑さが来ると、生き延びるために山へ上がり、私たちだけを下界の暑さに残していく。そして暑さがやわらぐころ、赤い友もまた戻ってきます。
生まれたところへ。
そこに、この小さな生き物の美しさがあります。自然の時計より、もう少し深いところにあるもの。それは、「帰る」ということ。
故郷。
人生のどこかで遠くへ行っても、いつか帰ってくる。たとえ実際には帰らなくても、心のどこかには、いつもそこへ引かれるものがある。 CONTINUED...
One of nature’s little sirens—the fireflies with the rainy season; the cicadas at its end—the red dragonfly, or Akatonbo, brings a smile: a sense that the worst of the heat has passed. Surely there are warm days left—yet there are those cool(er) nights! Fall is coming! Almost a promise. They would not come otherwise, lest they beckon an unfruitful end.
They are born, after all, amongst us—in the rice fields and mud of early summer. But as the oppressive heat arrives, they move up the mountains to survive, leaving us alone to wither. Then, as the heat abates and the more reasonable temperatures return, so too does our red friend—back whence he came.
And therein lies the beauty. Deeper than nature's clock is that idea of returning home. The 故郷. Though you move away in life, you eventually come back—or at the very least, have that pull in the heart.
Take the Tokyoite. CONTINUED...
赤とんぼが知らせる初秋、そして「帰る」ということ――季節の小さな変化から、故郷、記憶、帰属意識へ。今回のLanguage Guideでは、次のような内容をお楽しみいただけます。
- 初秋、故郷、帰ること、居場所をめぐる英語表現と語彙
- 記事の英文をより深く読み解くためのGrammar Points
- Mr Derekによる記事音声と、Study Portalのアクティビティで理解を深める
- 赤とんぼの俳句、喜多川歌麿の作品、Brandi Carlileによる音楽、Neil the Seal、Bernard Buffet――さまざまな作品や映像を通して、「帰る」という感覚を言葉と文化から味わう
読むたびに思いがけない気づきがあり、英語の表現が少しずつ自分のものになっていく。そんな体験を大切にしています。
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